アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。
本記事では、「MVV」とは何かをはじめ、MVVの策定方法や運用計画について、広報活動に生かすための具体的なポイントを例示しながらお伝えします。
目次
みなさんは「MVV」という言葉をご存知でしょうか?
IT技術の発展や価値観の多様性など、目まぐるしく変化している現代社会。企業は成し遂げたい目標や目指す方向性、社会に対する存在意義が問われています。その目標や方向性を社員たちの間で共有することはとても重要なことです。
それらを簡潔に表した言葉が「MVV」です。本記事では、「MVV」とは何かをはじめ、MVVの策定方法や運用計画について、広報活動に生かすための具体的なポイントを例示しながらお伝えします。
MVVとは、「Mission(ミッション)」、「Vision(ビジョン)」、「Value(バリュー)」の頭文字をとった言葉で、企業における経営方針や企業理念を示す言葉です。多くの場合、社員や顧客、ステークホルダーに理解してもらえるよう、明確な言葉でわかりやすく表現されます。
以下では、それぞれどのような意味があり、どのような目的があるのか解説していきます。
ミッション(Mission)とは、企業・組織が社会に対して果たすべき使命・存在意義を示す言葉です。
なぜこの企業が存在するのか、この組織が社会にどのような価値を生み出すのかなど、企業や組織が目指す社会を明確に表しています。
ビジョン(Vision)とは、企業・組織が目指す理想像や目標を示す言葉です。
ミッションを実現するために、企業や組織はどのような状況になるべきか、どのような志であるべきかを明確に表しています。
バリュー(Value)とは、前述のミッションやビジョンを踏まえて、達成するために行うべき具体的な行動指針・行動基準を示す言葉です。
業務の中で社員たちが移すべき行動や判断基準となる価値観を明確に表しています。
なお、この「ミッション・ビジョン・バリュー」を提唱したのは『マネジメント』や『現代経営学』の著者として有名な経済学者:ピーター・F・ドラッカーです。
ドラッカーは著書『Managing in the Next Society』の中で、「グローバル化が進む今後のビジネス市場において、事業の正当性や存在意義を示すことが企業の最大の課題になる」と述べるように、「ミッション・ビジョン・バリュー」の大切さを語っていました。
ミッション・ビジョン・バリューが持つ重要な役割は、企業・社員・社会を繋ぎ合わせ、社内外のコミュニケーションを担うということです。
存在意義や価値観を明確にすることで、経営陣から従業員まで企業全体の共通認識を作り上げ、一貫した経営判断・目標設定・経営方針を構築することができます。
同じ企業風土・企業文化を共有することで、従業員たちのモチベーションが高まり、組織の一体感を醸成します。
そのため、社内のコミュニケーションはもちろん、顧客やステークホルダーへより具体的な企業イメージを発信することができます。採用広報にも直結するため、人事採用においても、ミスマッチを防ぐこともできます。
ミッション・ビジョン・バリューと似た言葉で「パーパス」という言葉がございます。
こちらではそのパーパスの定義やミッション・ビジョン・バリューとの違いについて解説していきます。
「パーパス」とは目的や意図を表す英単語です。ただ、ビジネスシーンにおいては「会社の目的や存在意義」といった意味で使われます。
「この会社は何をするべきなのか」「社会でどんな価値を生み出すべきか」などを示します。
パーパスは主に企業の目的や存在意義を表すものですが、ミッション・ビジョン・バリューとの違いがあるのかを解説します。
ここで改めてミッション・ビジョン・バリューの目的を振り返ります。
上記を踏まえ、図に表すと以下のようになります。
図を見ると、最終的な目標であるパーパスを実現するべく、具体的にいつまでにどのような状態に仕上げるため、どう行動するべきかを示すミッション・ビジョン・バリューが設定されています。このように、ミッション・ビジョン・バリューはパーパスを前提に構築されています。
また、ミッション・ビジョン・バリューは「企業と顧客との関係を中心に書き示した3つの企業理念」です。
一方、パーパスは社会における企業の存価価値をより具体的に表現したもので、社会的な意味を強く持った理念や概念で、「なぜ存在するのか」にフォーカスしたものとなっています。
以上のように、密接な関係を持つパーパスとミッション・ビジョン・バリューですが、客観的に見て、社会的な意味を持つか否かが違いとして挙げられます。
MVVはパーパスを達成するために必要な行動を示すという関係性です。
そのため、バリューはビジョンを実現させ、ビジョンはミッションを実現させるといった、一連の流れが必要となります。
この流れを踏まえ、以下に作り方を紹介します。これから作ろうと考えている方は是非参考にしてください。
代表や経営陣など、会社の経営に関わるメンバーで事業内容を整理します。MVVは企業や組織の根幹に関わります。事業内容への理解が深いメンバーで話し合うことがまず大切です。
自社に関わるステークホルダーを分析することで、より効果的なものを策定します。「顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)」の3つを分析対象とする「3C分析」がわかりやすい例として挙げられます。
分析するうえで、自社に求めるニーズ、競合他社のMVV、客観的に見た自社の立ち位置・位置付けはリサーチする必要があります。
上記の2つを踏まえ、場合によっては社員ワークショップを行い、社員の意見を取り入れることも大切です。
仕事のやりがいや現場の声が反映されることで、社員全員がMVVについてより一層理解することにつながります。
MVVは作って終わりでは意味がありません。
社内外ともに告知し、浸透させる必要があります。以下にその方法を紹介します。
広報活動する上で、社内外のステークホルダーが目にするツールを活用することで効果的に告知できます。
具体例として、自社サイトのニュースページに掲載したり、オウンドメディアでMVVについての記事を公開するなど、多くの人の目に入るWebへの掲載は効果的です。対外的にプレスリリースを作成・配信するのも1つの手段です。
人事評価の対象項目に加えたり、表彰制度を導入することで、社員がMVVを意識する状況を作り上げます。
MVVを人事評価の対象項目に加えることで、社員のモチベーションが高まるだけでなく、MVVがより身近な存在であると感じてもらえるきっかけにもなります。
社内に周知しただけでは、MVVの効果はすぐに表れません。中長期的に実現するものと考え、我慢強く、継続的に発信することが大切です。
社内ワークショップなどで社員同士が語り合うことで、より深い共通認識を作り上げることが期待できます。
こちらではMVVを作る上で注意するべきポイントや表現について解説します。
前述のように、ミッション・ビジョン・バリューのそれぞれの流れを踏まえた内容で作ることが大切です。一貫性を持たせることで、より社員の認識度や理解度が上がり、日頃の業務の中で意識しやすくなります。
大切なことだからと言って、長々と書くのではなく、パッと見て理解できるボリュームにしましょう。
より多くのことを伝えたい気持ちは分かりますが、何よりも共通認識として社員全員が理解できることが大切です。社員全員が記憶できるボリュームを意識しましょう。
表現としてのカッコ良さではなく、多くの人から理解が得られる言葉を選びましょう。普段あまり目にしない言葉、難解な言葉の使用はできるだけ避けて作ることをオススメします。
企業として伝えたい内容だけでなく、時代性や社会性にあった言葉選びを意識しましょう。
昨今、ネットの発達で企業情報を目にする機会が増えています。企業のメッセージが大きなリスクに繋がる可能性も十分あるため、時代や社会性を考慮することは大切です。
こちらではMVVの有名な事例を紹介します。これから作ろうと考えている方は是非参考にしてみてください。
「ユニクロ」「GU」などを展開するファーストリテイリング。
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というミッションを掲げ、ビジョンとバリューにアパレルブランドとして世界をリードするという決意が込められています。
携帯事業を中心としたIT関連事業を行うソフトバンクグループ。こちらでは「情報革命で人々を幸せに」というミッションを掲げています。
また、「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指し、世界ナンバーワンかつオンリーワンの存在を目指していく姿勢がはっきりと示されています。
ミッション・ビジョン・バリューによって、企業が目指す方向性や理想像を社内だけでなく、世の中にも伝えることができます。そしてこれは社員のモチベーションアップだけでなく、ステークホルダーや求職者の企業理解が深まるといったメリットもあるため、会社経営において重要なものです。
前述のように、ミッション・ビジョン・バリューは日頃から意識することが大切です。経営陣の自己満足で終わらないよう、広報活動や社内ワークショップの定期開催を心がけましょう。
ミッション・ビジョン・バリューの作成を考えている方は、今回紹介したポイントを踏まえてぜひ取り組んでみてください。
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