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個人事業主のためのお金の管理と節税のコツとは?安心して貯蓄するためのポイント

すでに個人事業主になっている方も今後なる予定の方も、お金を自分で管理する方法は不可欠です。個人事業主は自身の事業用資金を管理できなければ、節税や貯金もうまくできません。

個人事業主に必要なお金の管理や節税・貯金の方法を知っていれば、今後お金とも自信を持って向き合えます。本記事では個人事業主が知っておくべきお金の管理や節税・貯蓄の方法・ポイントを見ていきましょう。

個人事業主がお金の管理をすべき理由3つ

まず個人事業主がお金を管理するべき理由に、以下の3つが挙げられます。

利益や経費をしっかり把握するため

個人事業主は事業を運営する際に、利益や経費、売上を常に把握することが欠かせません。3つをきちんと把握していれば、今の事業の状態の良し悪しを知ることができます。

特に週に1度などまめに利益や経費を把握していれば、早いうちに収支を改善したり、より収益性を高めたりすることも可能です。

確定申告対策

個人事業主は毎年1度、春先に確定申告しなければなりません。確定申告では自分で記録した売上や経費をもとに、税額を申告するためです。

日頃からきちんとお金の管理ができていれば、確定申告の作業に手間はかかりません。比較的短い時間で終わらせられるため、早く終わった分を仕事に充てられます。

万一に備えて貯金を作るため

お金の管理は貯金作りでも欠かせません。個人事業主・フリーランスは会社員と異なり、常に売上が安定するわけではないためです。

翌月に仕事が減って収入が大きく下がる場合もよくあります。仕事が減っている時期でも安定して生活できるように、余裕のあるうちから貯金を作ることが大切です。

まめにお金の管理をしていれば、余ったお金を貯金に回して、万が一に備えられます。

個人事業主がお金を分別管理する方法4つ

個人事業主が上手にお金の管理をする方法が、以下の4つです。

事業用のカードや口座を作っておく

まず普段の生活で使っているものとは別に、事業用のカードや口座を作りましょう。生活用のものと別に作っておくと、事業用に使った経費を計上する際も楽です。

生活用と事業用の費用を同じカードや口座で決済する場合、会計処理でも生活用のものか事業用のものかの区別に手間がかかります。しかし事前に分けておけば、わざわざ区別せずに済む上に、会計ソフトに直接記帳できて便利です。

なお事業用のカードや口座は、会計ソフトと連携しておくこともおすすめします。連携しておけば定期的に利用データが送られるため、計上の際も勘定科目で振り分け登録するだけです。

領収書や請求書を必ず残しておく

また、支払いで発生した領収書や請求書は必ず残しましょう。特に領収書は、7年間保存することが義務付けられています。

加えて、領収書は費用の証拠になるため、本当に支払ったのか疑いそうになった時も確認可能です。他にも税務署による税務調査の対象になった際も、調査官に対して証拠として提示できます。

請求書についても、入金されるべき報酬が振り込まれているかいないかを確認する上で便利です。合わせて売上を記帳する際の資料としても使えます。

記帳は最低でも月に1度は行う

個人事業主としてお金を管理するのなら、記帳は最低でも月に1度は行うべきです。まとめて1度に行おうとする場合、まとまった時間を使って作業しなければいけません。

特に確定申告の時期にまとめて行おうとすると、申告作業とともに膨大な時間を割く必要があります。日頃まめに記帳していれば短時間で終わらせられる分、仕事により多くの時間を割けられるでしょう。

生活資金は「事業主貸」の勘定科目で処理を

個人事業主が自身の売上から生活資金を割く場合は、勘定科目の「事業主貸」を使います。事業主貸は自身の事業で得た売上から、プライベートに割いた分に対して使う科目です。

いわば自分に対して給料を支払う際に使われる勘定科目ですので、生活費などを割く際に有効活用できます。ただし事業主貸は、経費として扱えない点にご注意ください。

個人事業主におすすめの貯蓄や節税の方法・ポイント7つ

個人事業主が貯金を作ったり節税したりする際、以下の方法やポイントが使えます。

固定費を見直す

まずは固定費の見直しから始めましょう。固定費とは、毎月必ず定額で発生する費用を指します。具体的には家賃や水道光熱費、携帯代などです。

固定費の見直しには様々な方法があります。例えば電気代や携帯代であれば、電力会社や携帯会社の比較サイトを利用し、より安いプランに乗り換えるといった方法です。

また今以上に安いアパートに引っ越したり、シェアハウスに移ったりする方法などもあります。固定費を月1000円削減するだけで年額で1万2000円の節約効果があるため、大きな貯金を作る一歩にもなるでしょう。

家事按分の活用

また自宅兼事務所で仕事をしている個人事業主であれば、家事按分を使うのもおすすめです。家事按分とは、経費計上の際に生活用と事業用の割合に分け、事業用の割合を経費にする方法を指します。

家事按分は自宅の間取りや自宅での作業時間をもとに決めるケースが多いです。例えば自宅の間取りのうち2割を作業に使っている場合は、家賃や水道光熱費の2割を経費にできます。

家事按分では家賃や水道光熱費の一部を経費にできる分、確定申告でも所得税額を安くできるのがメリットです。源泉徴収で所得税を先払いしている場合、税務署からの還付金を増やせるため、戻ってきた分を貯金に回せます。

青色申告

青色申告は確定申告の方法の1つで、最大65万円の特別控除や赤字の3年間繰り越しなど様々な特典が受けられます。

特に最大65万円の特別控除は確定申告では大きな控除で、所得税を大幅に下げられてお得です。青色申告では提出書類が多かったりやり方が複雑だったりします。しかし特別控除の活用で浮いた税金額を貯金や他の支払いに回せるため、ぜひお役立てください。

国民年金基金・付加年金

老後の資金対策には国民年金基金や付加年金制度が便利です。個人事業主(自営業者)は老後にもらえる年金が国民年金しかありません。厚生年金も一緒にもらえる会社員や公務員と異なり、老後のお金に困る場合もよくあります。

国民年金や付加年金は老後にもらう年金額を増やせるため、少しでも老後資金を確保したい方におすすめです。ただし国民年金基金と付加年金は両方選べないため、事前にお互いの特徴を知っておきましょう。以下の表も参考にしてください。

参考:国民年金基金と付加年金の違い

国民年金基金付加年金
保険料(掛金)1口6370~6万8000円国民年金保険料+400円
もらえる金額最低でも12万円(50歳まで加入した場合)200円×納付月数
申込先国民年金基金連合会住民票のある市区町村役所(年金担当窓口)
脱退・再加入の可否不可

小規模企業共済制度

個人事業主が将来のお金を作るのなら、小規模企業共済制度もおすすめです。小規模企業共済制度では、自営業者や小規模企業の経営者が廃業や引退した際の退職金を用意できます。

掛金は毎月1000~7万円まで500円単位で選べる仕組みで、途中での変更も可能です。加えて支払った掛金は確定申告でも全額控除されるため、節税にも使えます。

個人年金保険・iDeCoの活用

個人年金保険やiDeCo(イデコ)も老後に備えて貯金できる商品です。個人年金保険は民間保険会社が提供する年金で、公的年金と併用できます。

個人年金保険は有期年金や終身年金、確定年金などと種類は様々な種類です。中でも確定年金は、受取期間中に死亡した場合に遺族が残りを受け取れます。加えて1年間に支払った保険料の金額に応じて、所得税で最大4万円・住民税で最大2.8万円が控除されるのも特徴です。

一方のiDeCoは、自分で掛金を決定した上で運用すれば、掛金と運用実績に基づいた金額が公的年金とともにもらえます。個人年金保険と同じく将来の年金額の積み増しで便利です。

ただしお金を受け取れるのは60歳を過ぎてからになります。iDeCoでも支払った掛金が全額控除されるのが特徴です。

貯金アプリや家計簿アプリの活用

貯金アプリや家計簿アプリを活用する手もあります。両方とも現在のお金の管理状況を一目で見られるため、忙しい中でも資産がいくらあるのかを把握するのに便利です。

貯金アプリは目標額やルールを設定した上で、貯金箱のお金の管理や貯蓄用口座への自動振り込みを行えます。貯金額が可視化されるため、現在の貯蓄状況も一目でチェックできるのもメリットです。

一方で家計簿アプリは、普段の生活での収支状況や出費の多い項目が瞬時に分かります。プライベート面でのお金の課題も見えてくる分、生活の中でもお金の使い方を意識できるでしょう。

個人事業主のお金の管理でおすすめな会計ソフト3選

個人事業主が事業用のお金を管理する場合、会計ソフトがあると便利です。会計ソフトの中でも以下の3つが人気があります。

freee会計

freee会計公式サイト

freee会計はクラウド会計ソフトでは業界シェアトップを誇るブランドです。個人事業主だけでなく様々な規模の企業でも活用されています。

AIを活用した入力自動化機能も付いているため、使い続けるほど会計処理を効率良く進めやすいです。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
主要な機能スマホアプリでの撮影機能銀行口座やクレジットカードとの連携機能請求書や領収書の整理・管理機能確定申告の提出機能各種レポート機能など
料金(税込・2024年6月現在)スタータープラン:1628円/月・12936円/年(月換算1078円)スタンダードプラン:2948円/月・26136円/年(月換算2178円)プレミアムプラン:39800円/年(月換算3316円)
無料トライアル期間30日
インボイス制度・電子帳簿保存法対応状況両方対応済み
サポート電話・メール・チャット
運営会社freee株式会社

マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計公式サイト

マネーフォワードクラウド会計は、大人気家計簿ソフトの事業用バージョンとして知られています。クラウド型の会計ソフトであるため、パソコンやスマホなどデバイスに関係なく活用できて便利です。

家計簿アプリのマネーフォワードMEとも連携できるため、生活資金で経費払いした場合でも安心して会計処理できます。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
主要な機能スマホアプリでの撮影機能銀行口座やクレジットカードとの連携機能請求書や領収書の整理・管理機能マネーフォワードMEとの連携機能確定申告の提出機能など
料金(税込・2024年6月現在)パーソナルミニプラン:1408円/月・11880円/年(月換算990円)パーソナルプラン:1848円/月・16896円/年(月換算1408円)パーソナルプラスプラン:39336円/年(月換算3278円)
無料トライアル期間30日
インボイス制度・電子帳簿保存法対応状況両方対応済み
サポートメール・チャット
運営会社株式会社マネーフォワード

やよいの青色申告オンライン

やよいの青色申告オンライン公式サイト

会計ソフト業界の老舗である弥生株式会社が提供する個人向け会計ソフトです。「青色申告」と付いているだけあり、1つのソフトで青色申告での提出までカバーしています。

セルフプランとベーシックプランであれば、最初の1年は無料で使える点も強みです。多くの会計ソフトの無料期間が30日である分、気長に試用できます。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
主要な機能スマホアプリでの撮影機能銀行口座やクレジットカードとの連携機能請求書や領収書の整理・管理機能青色申告書類の自動作成機能確定申告の提出機能など
料金(税込・2024年6月現在)セルフプラン(2年目以降):11330円/年(月換算944円)ベーシックプラン:18975円/年(月換算1581円)トータルプラン:
1年目:16500円/年(月換算1375円)
2年目以降:33000円/年(月換算2750円)
無料トライアル期間1年(トータルプランは無料期間なし)
インボイス制度・電子帳簿保存法対応状況両方対応済み
サポート電話・メール・チャット
運営会社弥生株式会社

個人事業主におすすめな家計簿アプリ3選

個人事業主のプライベートで活用できる家計簿アプリで、おすすめは以下の3つです。

マネーフォワードME

マネーフォワードME公式サイト

マネーフォワードMEは家計簿アプリの代表格として人気があります。1500万人ものユーザーを擁しているため、家計簿アプリ選びで悩んでいる方におすすめです。

複数の口座・カード・電子マネー・ポイントの情報を一括管理できる上に、家計簿も自動で作成されます。なるべく省力化しつつ、手軽にお金の管理をしたい方向けです。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
主要な機能口座・カード・キャッシュレスサービスの一括管理機能レシート撮影機能家計簿の収支分類・仕訳機能家計簿の作成・分析・グラフ化機能
料金(税込・2024年6月現在)無料会員:無料スタンダードプラン:500円/月・5300円/年(月換算442円)資産形成アドバンスプラン:980円/月・10700円/年(月換算892円)
無料トライアル期間30日
サポートメール・チャット
運営会社株式会社マネーフォワード

Zaim

Zaim公式サイト

現金払い・キャッシュレス決済いずれの方にも対応できることで人気があります。総ダウンロード数も1000万回を超えている上に、無料会員が使える機能の幅広さが評判です。

家計分析に役立つようにグラフを自動作成してくれたり、連携できるサービスが1000種類以上に及んだりする点でも重宝します。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
主要な機能複数のカード・口座との連携・管理機能レシート撮影機能家計簿の収支分類・仕訳機能収支バランス診断機能定額サービスの診断機能
料金(税込・2024年6月現在)無料会員:無料有料プラン(Web):440円/月・4378円/年(月換算365円)有料プラン(アプリ):480円/月・4800円/年(月換算400円)
無料トライアル期間Web:30日/アプリ:7日
サポートメール
運営会社株式会社くふうAIスタジオ

Moneytree

Moneytree公式サイト

クレジットカードやキャッシュレス決済と連携できる上、大きな出費やポイントの有効期限を通知してくれる点で便利です。支出もAIが自動分類してくれるため、比較的楽に家計簿を作成できます。

有料プランの料金も、個人向けであれば他のアプリに比べてリーズナブルな設定になっている点も強みです。

対応機種Windows・Mac・iOS・Android
(GrowプランのみiOS)
主要な機能複数の金融サービスとの連携・管理機能支出の自動分類機能出費・ポイント有効期限通知機能
料金(税込・2024年6月現在)無料会員:無料Growプラン(iOS限定):360円/月・3600円/年(月換算300円)Workプラン:500円/月・5400円/年(月換算450円)
無料トライアル期間30日
サポートメール・チャット
運営会社マネーツリー株式会社

個人事業主の貯金や節税におすすめの本・サイト4選

個人事業主として貯金や節税に関する情報を集めたいのなら、以下の本やサイトが役に立ちます。

FREENANCE MAG

FREENANCE MAGは、個人事業主の間でも人気の根強いファクタリングサービス「FREENANCE(フリーナンス)」が運営するメディアです。

個人事業主の活動に役立つ情報を発信していて、お金関係でも貯金・保険・確定申告などの情報が詰まっています。記事で扱うテーマも、働けなくなった時に使える制度・保険や財政面の支援制度、投資の方法などと様々です。個人事業主に関わるお金の情報を一通りチェックしたい方に向いています。

FinFin

スマホ1つで会計処理や請求書を発行できる「FinFin」のマガジンも、個人事業主が扱うお金の情報を集めるのにおすすめです。マガジンコンテンツでは、個人事業主が役立つ記事が多く発信されています。

記事のテーマは確定申告や経理関連のテクにまつわるものが中心です。他にも定期的に開催されているセミナーのレポートも発信されるため、セミナー参加を考える上でも役立ちます。

ゼロからわかる!フリーランス、自営業のためのお金の基本

赤字家計からの再起のスペシャリストが著したフリーランスや自営業向けの本です。個人事業主が関わるお金を管理する方法から、貯金や節税のテクまで幅広く解説しています。

お金のことがよくわからない方でも抵抗なく読めるように、1章目はごく基本的な部分から説明している点で安心です。他にも借金を抱えるなどした場合のセーフティネットについても触れられています。

お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!

別名「フリーランス税本」とも呼ばれている上に、本自体も税理士と現役フリーランス漫画家による共同制作です。内容も多くを漫画が占めていて、間に解説を載せています。

税金で必要な知識を基本から確定申告の方法、節税の方法まで幅広くかつ分かりやすく解説しているのが特徴です。社会保険や年金にも触れられているため、ライフプランを考える際にも活用できます。

まとめ

個人事業主は会社員と異なり、プライベート資金だけでなく自身の事業に関するお金も管理しなければなりません。ただ事前にお金を管理すべき理由や方法を理解していれば、今後個人事業主として活動する際に大いに役立ちます。

すでに個人事業主として活躍している方も、今後開業しようとしている方も本記事で触れた内容や方法を実践していただければ幸いです。

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