アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。
広告運用を外注しても成果が見えない――そんな課題を抱えるSaaS・IT企業のマーケ担当者に向けて、代理店の評価方法や改善指示の出し方を実務フレームで解説。評価指標の整理や報告フォーマット統一、信頼できるパートナー選定など、外注効果を最大化する実践ノウハウを紹介します。
目次
多くのIT・SaaS企業が、広告運用を外部に委託する際、「成果が見えない」「具体的な指示が出せない」という課題を抱えています。限られた人員でマーケティングを行う企業では、代理店の評価が難しく、改善が進まずにコストだけが増えてしまうことがあります。
本記事では、代理店への具体的な指示方法や、成果を判断するためのフレームワークを解説します。記事を読めば、代理店とどう対話すべきか、どの指標を追うべきかが明確になり、明日からすぐに実践できるようになるでしょう。
代理店と契約する際に「リード数を増やす」といった抽象的なゴールしか示していないと、成果の評価が難しくなります。
売上や商談とどのように結びつくのかが不明確なままでは、代理店から提示される数値を見ても実際のビジネス成長への影響が判断できません。結果として「報告は受け取れるが、本当に進捗しているのか不明」という状態に陥り、改善の指示も曖昧になりやすいのです。
マーケティング担当者が広告運用の専門知識に乏しい場合、CTRやCVRといった指標を正しく読み取ることが難しくなります。そのため代理店からのレポートをそのまま受け入れてしまい、数値の変動が好ましいのか危険信号なのかを判断できません。
結果的に短期的な数値に一喜一憂し、戦略的な改善判断ができず、代理店を適切に評価できない状況が続いてしまいます。
代理店は広告配信の最適化を重視するため、CPAやROASなど運用効率の指標を中心に成果を説明します。
しかし発注側が本来見たいのは、受注数やLTVなど事業成長を示すKPIです。この乖離があると「広告数値は良好でも売上につながらない」といった状況が発生します。双方の視点がかみ合わないまま進むと、評価基準がぶれて代理店への指示も的を外しやすくなります。
広告代理店への評価ができない状態を放置すると、以下のような問題が積み重なります。
このように、評価指標が曖昧な状態は単なる数字の停滞に留まらず、組織全体の意思決定を不安定にします。
ここからは、代理店に具体的な改善指示を出すための実務フレームを提示します。
代理店に改善指示を出すためには、成果を正しく読み解く基準を設ける必要があります。そこで効果的なのが、指標を階層的に整理するアプローチです。目の前の数値にとらわれず、事業ゴールまでのつながりを明示できれば、担当者と代理店の認識のズレを減らせます。
この整理により、代理店が提示する広告指標をどう事業成果へ結び付けるかが明確になり、評価の基準がぶれなくなります。
適切な改善指示を行うには、代理店からの報告を同じ基準で読み解ける状態にするのが大切です。フォーマットがバラバラだと、数値の比較が難しく、進捗の判断を誤る恐れがあります。それを踏まえて、標準化された形式での共有を依頼することが、双方にとって無駄を省き、会話を効率化する第一歩になります。
統一された報告フォーマットには最低限、以下の要素を盛り込む必要があります。
この枠組みを使うことで、報告の質にばらつきが生じず、数値の背景を踏まえた評価が可能になります。
代理店に改善指示を出す際は、感覚的な要望ではなく、筋道を立てた依頼にすることが重要です。曖昧な依頼は誤解を招き、対応が遅れる原因となります。指示を「課題 → 仮説 → アクション」という流れに沿って整理するだけで、依頼内容が具体的になり、会話の質も向上します。
例として、以下のように依頼をまとめておくとよいでしょう。
このように伝えることで、代理店が改善の方向性をすぐに理解でき、スピーディに対応が進みます。
外注を成果につなげるためには、パートナー選びが極めて重要です。
単に広告を運用するだけでなく、マーケティング戦略全体を見据えて提案できるかどうかで、長期的な成果は大きく変わります。運用代行型ではなく、ビジネス視点を持って並走できる代理店を見極めることが肝要です。
信頼性の高い代理店には、以下のような特徴があります。
こうした視点で代理店を評価すれば、表面的な運用効率だけでなく、事業成果へ直結するパートナーを見つけられるでしょう。
代理店にすべてを任せてしまうと、成果の評価がブラックボックス化してしまいます。
改善のスピードを高めるためには、社内でも広告数値を追える体制が必要です。最低限の仕組みを用意しておくことで、代理店からの報告を受け身で受け取るのではなく、自ら比較検証できるようになります。
体制構築の方法としては、以下のような手段があります。
これにより代理店への依存度を減らし、正しく評価するための土台を社内で持てるようになるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
外注している広告運用の成果を最大化するには、行き当たりばったりな対応から脱却し、評価と改善を繰り返す仕組みが必要です。
そのためには、現状を正確に把握し、具体的な改善策を立て、それを組織に定着させるという、3つのステップを踏むことが重要です。このプロセスを経ることで、属人的な運用から脱却し、誰が担当しても安定した成果を出し続けられる体制を築くことができるでしょう。
まずは自社の外注活用状況を客観的に把握することが重要です。感覚的に「うまくいっていない」と感じても、課題が曖昧なままでは改善策を打ちにくくなります。
そこでチェックリストを用いて、依頼範囲や成果物の品質、社内コミュニケーションの状態などを可視化しましょう。問題が具体化すれば、属人化の有無や工数の偏りも明確になります。診断の結果をチームで共有することで、共通認識が生まれ、改善への合意形成がスムーズに進みます。
この工程を丁寧に行うことで、次の施策がブレることなく取り組める土台を築けるのです。
現状診断で浮かび上がった課題をもとに、改善施策を具体的に設計します。単なる属人化解消だけでなく、外注先との関係性やフロー全体の効率化を意識することが大切です。改善施策を立てる際には、次の視点を軸に検討すると効果的です。
このような改善策を明文化し、優先順位をつけて取り組むことで、短期的なトラブル対応だけでなく、中長期的に安定した外注活用が可能になります。属人依存から脱却し、再現性のある運用体制を作ることがゴールです。
改善施策を実際に運用し、仕組みとして根付かせる段階です。属人化を防ぐには「仕組み」と「共有」の両輪が欠かせません。
具体的には、フローをドキュメント化して誰でも参照できる状態にし、担当が変わっても同じ品質で実行できる体制を整えましょう。また、外注先との振り返りを定例化し、改善点を継続的に反映させることも効果的です。仕組みが社内文化として定着すれば、担当者に依存せず成果を出し続けられるようになります。
こうした体制が整えば、外注活用は単なる工数削減手段ではなく、事業成長を加速させる戦略的な武器へと変わっていきます。
広告運用の外部委託で成果が出ない原因は、指標が曖昧だったり、代理店とのKPI認識にずれが生じたりすることにあります。このままでは改善が遅れ、費用対効果も見えにくくなってしまいます。
このような状況を避けるためには、まず指標を明確化し、レポートのフォーマットを統一することが重要です。さらに、代理店に全てを任せるのではなく、自社でもデータを把握できる体制を構築しましょう。そうすることで、外部委託のリスクを低減し、より確実な成果を目指すことができるでしょう。
広告代理店との連携に悩んでいる方や、成果を正しく評価する仕組みを作りたい方は、MRMの導入を検討してみてください。MRMを活用すれば、広告運用の数値管理から施策全体のPDCAまでを一元化し、代理店への指示もスムーズになります。
気になる方は以下のバナーからお気軽にお問い合わせください。

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