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「フリーランスの人事案件ってあるの?」
「人事業務なのにフリーランスに任せてもらえるの?」
人事の仕事は、企業の人材に関する業務に携わるものであることから、このような疑問や不安を感じる人もいることでしょう。
働き方が多様化し、フリーランスで働きたいと考えているものの、専門的なスキルや知識がないと感じてしまい、フリーランスになることを諦めてしまう人もいるかもしれません。
この記事では、フリーランス人事の始め方をはじめ、必要なスキルやメリット・デメリットについて解説していきます。
目次
フリーランス人事のニーズの高まり
結論から言うと、フリーランス人事のニーズは高まっています。
人事業務と聞くと、その企業の人材の管理を行うという印象から「外部の人間であるフリーランスに任せられる人事の案件はあるの?」と疑問に感じる人もいることでしょう。
ITエンジニアやコンサルタントのような専門知識やスキルが必要な職種が注目を集めがちですが、人事業務も立派な専門職であり市場ではニーズが高まっているのです。
その理由として、フリーランスはプロジェクトごとに案件に参画するという特徴があることが挙げられます。
例えば、人事の大きな仕事として採用業務がありますが、中小企業のなかには専任の担当者がおらず、人材採用のノウハウが確立されていないことも珍しくありません。
また、担当者がいたとしても、その社員が休職や退職などで離脱してしまった際、業務が滞ってしまうこともあるでしょう。
その点、人事業務のプロであるフリーランスを活用することで、採用業務を進められることはもちろん、実施した施策を社内のノウハウとして蓄積することが可能です。
即戦力となる人材を必要な期間に必要な人材を確保できることも魅力のひとつです。
このように、人材不足が社会問題となっている現代において、フリーランス人事は今後も需要が高まる存在であると考えられるでしょう。
フリーランス人事の業務内容
ここでは、フリーランス人事の業務内容について解説します。
採用業務
フリーランス人事の採用業務は参画する案件によって担当範囲は異なりますが、主な業務には以下が挙げられます。
- 採用戦略の策定
- 求人広告の作成と掲載
- 応募者との面接
- 採用マーケティング活動
これらの業務を通じて、企業の採用活動を支援し、優秀な人材の確保に貢献します。クライアントのニーズや業界に応じて柔軟な対応力と専門知識が求められるため、多様なスキルを持つことが重要です。
クライアント企業の最適な採用戦略を策定
クライアント企業の最適な採用戦略を策定する際には、まず、採用ニーズを分析し、最適な採用戦略を策定することが求められます。その際、企業がどのような人材を求めているのかを理解したうえでターゲット層を設定し、適切な採用チャネルを選定することもその一つです。
人材を募集するための求人広告の作成と掲載
人材を募集するための求人広告の作成と掲載を行う案件では、企業の魅力を引き出し、求職者にとって魅力的な広告を作成し、各種求人サイトやSNSに掲載して応募者を集める業務です。
そこで集まった応募者の管理も欠かせない業務であり、応募者の履歴書や職務経歴書の整理、データベースの更新、応募者との連絡調整、面接スケジュールの管理を行います。
応募者との面接を実施、適性やスキルを評価
応募者との面接を実施し、適性やスキルを評価することも採用業務の一つです。
電話面接やオンライン面接、対面面接などを通じて、候補者を評価し、フィードバックをクライアント企業や応募者へ提供します。採用プロセス全体をコーディネートする役割もあり、各ステージの進捗管理や部門間の連携、採用決定までの調整を行います。
ブランド価値を高めるための採用マーケティング活動
フリーランス人事の採用業務には、クライアント企業のブランド価値を高めるための採用マーケティング活動を任されることもあります。これには、ソーシャルメディアキャンペーンの実施や企業の採用ページの改善、採用イベントの企画などコンサルティングの要素も
含まれます。リファラルプログラムの構築と運用も重要で、社内外のリファラルプログラムを設計し、従業員へのプログラム周知、プログラムの効果測定を行います。
労務管理
労務管理も重要な人事業務ですが、フリーランス向けの案件には次のものが挙げられます。
- 労働条件の整備
- 給与計算
- 福利厚生の管理
これらの業務を通じて、フリーランス人事は企業の労務管理を総合的に支援し、従業員が安心して働ける環境を提供することが求められます。企業ごとのニーズに応じることはもちろん、労働法規を理解したうえで柔軟かつ専門的に対応する力が必要です。
労働条件の整備
労働条件の整備とは、文字通り従業員の労働条件を整備する業務です。
例えば、従業員の労働契約書の作成や更新、雇用条件や勤務時間などの見直しが挙げられます。
また、労働条件の整備を実施するためには、労働法規の遵守は必須であり、最新の労働法や規制に関する情報を常に把握し、企業が法的義務を果たしていることを確認しなければなりません。
給与計算
従業員の勤務時間や残業時間、有給休暇などを正確に記録し、給与計算を行う業務です。
これには、社会保険料や税金の控除、ボーナスや手当の計算なども含まれます。
また、給与支払に関するトラブルが発生した場合には、その解決にも対応しなければなりません。
福利厚生の管理
労務管理の一環として労働環境の改善や福利厚生の整備なども挙げられます。
従業員の働きやすい環境を整えるための施策を企画・実施し、職場の安全衛生管理を行います。これには、定期的な職場巡視や安全衛生委員会の運営、従業員への安全教育などが含まれます。
また、労務トラブルが発生した際には適切な対応を行い、再発防止策の策定や実施を行うこともあるでしょう。
人材開発
フリーランス人事が担当する人材開発案件には、従業員のスキル向上やキャリアパスの構築を支援するもので、以下の業務が挙げられます。
- トレーニングプログラムの設計と実施
- 評価制度の策定
- キャリア開発支援
このように、フリーランス人事は企業の人材開発に関する専門知識を提供し、アドバイスを行います。市場のトレンドやベストプラクティスを踏まえ、企業が効果的な人材開発戦略を構築できるようサポートします。
これらの業務を通じて、フリーランス人事は企業の人材開発を総合的に支援し、従業員が最大限の能力を発揮できる環境を提供することで、企業はノウハウを蓄積できるのです。
トレーニングプログラムの設計と実施
従業員への研修や教育など、トレーニングプログラムの設計・実施もフリーランス人事の仕事の一つです。
企業のニーズや目標に基づいて必要なスキルを特定し、それに沿ったトレーニングの内容を決定します。
このトレーニングプログラムの実施方法として、eラーニング、ワークショップ、セミナーなどの形式選定も行い、実施後にはその効果を測定し、必要に応じてプログラムを改善します。
評価制度の策定
従業員のパフォーマンスを評価し、フィードバックを提供するといった評価制度も人材開発の一環です。
定期的な評価面談を実施し、評価基準を設定して従業員の強みや改善点を明確にします。ここから、従業員が自身のキャリア開発の方向性を理解し、成長のための具体的なアクションを取るための仕組みを作ることを任されることもあります。
キャリア開発支援
フリーランス人事の案件には、従業員に対する研修制度の策定だけではなく、リーダーとなる人材の育成やキャリア開発支援を行うものもあります。
一般的に、従業員が自分のキャリアを計画し、その目標を実現するための支援をするものです。
例えば、キャリアカウンセリングやメンタリングを通じて、従業員が必要なスキルや経験を積むためのサポートを提供したり、キャリアパスの策定を支援して従業員が将来的に目指すべき目標を明確にしたりするなどが挙げられます。
組織開発
フリーランス人事が担当する案件の中には、組織全体のパフォーマンス向上や効率化を目指すための組織開発を依頼されることもあります。
- 組織の現状分析と診断
- 組織文化の改善
- チェンジマネジメント
このように、組織開発業務は企業の組織力を強化し、効率的で生産的な組織作りをするコンサルタントのような仕事内容ですが、フリーランス人事の案件にもあるため、実務経験を積みたい人は要チェックです。
組織の現状分析と診断
組織の現状分析と診断では、企業文化や従業員のエンゲージメント、組織構造やコミュニケーションの流れなど、さまざまな側面から組織を評価するものです。
その後、現状分析の結果に基づいて、組織の強みと弱み、改善が必要な領域を特定して組織開発の計画を策定します。
単に課題を解決すれば良いわけではなく、企業のビジョンや目標を理解したうえで、具体的な戦略や施策を立案しなければなりません。
組織文化の改善
フリーランス人事の案件には組織文化の改善を依頼されることもあります。
社内では当然と思っている既存の組織文化に対し、社外の人間だからこそ発見できる課題もあるからです。
案件例として、企業の価値観や行動規範を再定義し、従業員が一体となって働ける文化を醸成するための施策の実施などが挙げられます。
これには、社内コミュニケーションの強化、従業員の意見を反映させる仕組みの構築、チームビルディングイベントの企画・運営などを行うこともあります。
チェンジマネジメント
チェンジマネジメント(変革管理)も組織開発の重要な業務です。
組織の変革プロジェクトを成功させるための計画と実施をします。
その際、変革の必要性を従業員に理解させ、変革に対する抵抗を最小限に抑えるためのコミュニケーション戦略の策定なども考慮しなければなりません。
また、変革プロセスの進捗をモニタリングし、必要に応じて調整と改善を行います。
フリーランス人事に求められるスキル・経験
ここでは、フリーランス人事に求められるスキルや経験について解説します。
人事業務の実務経験
フリーランスは、即戦力となることが求められるため、人事業務の実務経験が求められます。案件によっては人事業務ではなくても、コンサルティング業務の経験があれば参画することが可能です。
人事案件に限らず、フリーランスは全くの未経験から案件を獲得することは難しいため、フリーランス人事として働きたい場合には、企業に所属して経験を積んでから目指すようにしましょう。
営業力・交渉力
人事に限らず、フリーランスは担当業務だけではなく、参画する案件を獲得するための営業活動も行わなければなりません。
そのための営業力や、案件参画する際の報酬や稼働時間などを取り決めるための交渉力も必要です。
自己管理能力
決められた時間に出社して業務を遂行する会社員とは違い、フリーランスは時間や場所に縛られない働き方が可能です。
また、働けば働くほど収入は増えることも魅力的ではありますが、それによってつい仕事を詰め込み過ぎてしまったり、スケジュール調整ができなかったりする人もいます。
体調を崩すことで収入が途絶えてしまうことはもちろん、スケジュールや期日を守れないことは、クライアントにも迷惑がかかります。
このような事態に陥らないためにも、自己管理能力を身につけるようにしましょう。
マネジメントスキル
マネジメントスキルも、フリーランス人事で働くためには重要なスキルの一つです。
フリーランス人事では、採用業務や組織開発などの案件が多く、プロジェクトの進行そのものを任されることも珍しくありません。
予算管理やスケジュールはもちろん、進捗や人材の管理を行うこともあります。
マネジメントスキルを身につけておくと、選択できる案件の幅も広がるため安定した収入にも繋がるでしょう。
フリーランス人事で働くメリット・デメリット
そもそも会社員として企業に所属して人事業務を行わず、フリーランス人事として働くのはどのような理由が挙げられるのでしょうか。ここでは、フリーランス人事で働くメリット・デメリットについて解説します。
まず、フリーランス人事で働くメリットには、報酬と自由度の高さがあります。
フリーランスは、企業に所属せずプロジェクトごとに案件に参画するため報酬が高いです。月報酬が60万以上、案件によっては100万円を超えるものもあるため大幅な収入アップが見込めます。
また、クライアント企業のオフィスに出社せず、リモートワークや在宅ワークで働くことも可能です。案件の稼働状況によっては、複数案件を掛け持ちで働くこともできるでしょう。
一方、フリーランスは会社員と比較して社会的な信用や保障が低く、収入が不安定になりやすいデメリットもあります。
会社員であれば、各種保険や税金などは所属企業が対応してくれますが、フリーランスはこれらを全て自分で行わなければなりません。
また、報酬が高いフリーランスですが、継続的に働かなければ収入が途絶えてしまうため、契約が満期を迎える前に次の案件を探す営業活動も必要です。
報酬や自由度が高いメリットの反面、支払いや手続き、収入の不安定さといったデメリットがあることを十分に理解したうえで、自分にマッチした働き方を選択していきましょう。
フリーランス人事の始め方
「フリーランス人事にはどうやってなるの?」と方法に悩む人もいることでしょう。
ここでは、フリーランス人事の始め方について代表的な3つの方法を紹介します。
フリーランス向けエージェントの活用
フリーランス向けのエージェントを活用するメリットは、営業活動の負担軽減と福利厚生が受けられる点にあります。
エージェントは、利用者の経歴やスキルから参画できる案件を紹介してくれるため、利用者は案件獲得のための営業活動や条件交渉を行わなくて済みます。
また、キャリアアップをはじめとする相談もできるため、一人で抱え込みがちなフリーランスにとって心強い味方となってくれるでしょう。
クラウドソーシングの活用
クラウドワークスやランサーズをはじめとするクラウドソーシングを活用するのも方法の一つです。
エージェントのように求人紹介をされるわけではないため、掲載されている案件に対して提案を行う必要はありますが、自分のペースで活動できるため自由度は非常に高いです。
また、利用しているクラウドソーシングにおいて評価が高まれば、企業から依頼の連絡をもらうこともあります。
これから、フリーランス人事として働くことを検討している人は、掲載されている案件を確認するところから始めてみるのも良いでしょう。
直接営業
エージェントやクラウドソーシングを利用せず、企業に対して直接営業することもできます。
ただし、縁も所縁もない企業に対して自身を売り込むのは非常にハードルが高いです。
友人知人をはじめとする人脈からの紹介がメインとなるのが実状です。
個人で活動する際には、ブログやSNSを活用して自身を宣伝するといった工夫もありますが、それらも実績がなければ依頼を受けるのは難しいため、まずはフリーランス人事として実績を積んでからにしましょう。
実績とスキルを身につけ、自分にマッチした働き方を選択していこう!
ITエンジニアやコンサルタントのように専門職が注目されるフリーランスですが、人事も専門的な知識や実績を要する職種であるため、企業からのニーズが高まっています。
採用業務や労務管理、人材や組織開発など案件内容は多岐にわたるため、それらにマッチしたスキルや実績を保有していることで案件獲得が可能です。
報酬や自由度が高いメリットがある反面、責任や管理能力、収入が不安定になりやすいというデメリットもありますが、エージェントやクラウドソーシングを活用することで、それらを解消できます。
これからフリーランス人事を目指す人は、この記事で解説した内容をぜひ参考にしてみてください。
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