アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。
マーケティング外注で失敗する5つの原因と回避法を解説。KPI設計・SLA明文化・評価スコアカード導入など、成果を出す仕組みづくりの実践ステップをSaaS企業向けに紹介します。
目次
「代理店に外注したのにリードが増えない」「報告内容が成果と結びつかない」そう感じているマーケティング責任者は少なくありません。SaaSやIT企業では、スピード重視で外注を進めた結果、施策が短期的になり、成果が伸び悩むケースが多く見られます。
本記事では、マーケティング外注で失敗しやすい要因と、その回避法を仕組みとして定着させる方法を解説します。
最後には、実際に外注体制を立て直したSaaS企業の事例と、すぐに使える次のアクションプランも紹介します。
外注の失敗は、単なる「委託先の問題」ではなく、発注側の体制や評価設計に構造的な欠陥があることが多いです。ここでは、特にSaaS企業で頻発する5つの失敗パターンを整理します。
外注施策が「記事本数」「広告クリック数」などの単発指標で終わってしまうと、本来の事業目標(ARRやLTV)に紐づかない成果測定になります。
KPIが曖昧なままでは、外注先も正しい方向に進めません。発注側がKGIを起点にしたKPIマップを定義していないことが根本原因です。
担当者の感覚や好みで評価してしまうと、改善の一貫性がなくなり、ナレッジも蓄積されません。
特にクリエイティブ領域では、「良し悪し」の基準が曖昧なまま意思決定されることが多く、次の施策に活かせないケースが目立ちます。
外注先への指示が「記事を10本お願いします」「広告を回してください」といった表面的な内容にとどまると、目的とアウトプットがズレてしまいます。
マーケ施策は“伝達の精度”で決まります。発注者が目的・ペルソナ・訴求軸を具体化しないまま依頼するのは、地図なしでゴールを探させるようなものです。
短期間で成果を出そうと複数の代理店に並行発注すると、進行管理や成果評価が追いつかなくなります。
「誰がどの成果を出したのか」が不明確になり、報告もバラバラに。結果として、内部チームが管理業務に追われる状態に陥ります。
「月に◯件のリード」「納期遵守率◯%」など、数値基準が契約段階で明記されていないケースも多いです。
成果が出なくても「どこが問題か」を客観的に判断できず、責任の所在が曖昧なまま時間だけが過ぎるリスクがあります。
外注で成果を出すためには、「優秀な代理店を選ぶこと」よりも、発注側が再現性ある仕組みを構築できるかが鍵となります。
ここでは、実務で使える5つの具体策を紹介します。

まずは「事業ゴール → マーケ指標 → 施策単位」へと分解し、数字で連動を見える化します。
例:
このようにKPIを階層化しておくことで、外注先との認識ズレが防げます。おすすめは、Googleスプレッドシートなどで「マーケKPIマップ」を作成し、共有ドキュメント化することです。
外注依頼時に「どの成果を、どの期間で、どの水準まで求めるのか」を数値で明確化しましょう。
たとえば以下のような項目を事前に取り決めておくと、後のトラブルを防げます。
成果の基準を「共通言語化」しておくことで、感覚ではなくデータに基づく協働が可能になります。
外注先を選ぶ際は、提案内容や実績だけでなく、運用面での適性を定量的に評価しましょう。
以下のようなスコアカードを作成すると、選定基準を標準化できます。
| 評価項目 | 内容 | 評価例 |
| 実績・専門性 | 同業種支援の経験、事例数 | 4/5 |
| 提案力 | 戦略的提案・改善視点の有無 | 5/5 |
| コミュニケーション | レスポンス速度・透明性 | 4/5 |
| 報告精度 | 定量データの一貫性 | 3/5 |
このスコアを社内共有すれば、担当が変わっても同じ基準で外注判断が行えます。
すべてを外注すると、管理負荷とコストが増します。
おすすめは、以下のようなマトリクスを使い、外注と内製の境界を明確にする方法です。
| 区分 | 事例 | 実施方法 |
| 高貢献・高難易度 | マーケ戦略設計・KPIマップ構築 | 内製 or コンサル協働 |
| 高貢献・低難易度 | コンテンツ制作・広告運用 | 外注で効率化 |
| 低貢献・高難易度 | システム構築・特殊分析 | スポット外注 |
| 低貢献・低難易度 | バナー修正など | テンプレ化 or 自動化 |
「何を外注すべきか」を明確にすることで、限られた予算を最大限に活用できます。
外注管理の成否を分けるのは、“人”ではなく“仕組み”です。
特におすすめなのが、MRM(Marketing Resource Management)ツールの導入です。
MRMを使えば、ブリーフ作成、進行管理、レビュー、納品までを一元管理できます。チャットやスプレッドシートで分散していた情報が集約され、誰でも同じ手順で外注を回せるようになります。
結果として、
を実現でき、「成果を出す外注体制」が再現可能になります。
外注の成否を左右するのは、依頼内容の細かさではなく、プロセス全体をどう設計するかにあります。属人化や認識ズレを防ぐには、戦略・実行・改善を一連の流れとして管理することが重要です。
ここでは、外注を依存ではなく協働へと変えるための3つのステップを紹介します。
外注がうまくいかない多くの原因は、「何のための施策か」を明確にできていない点にあります。単に「リードを増やす」「CV数を上げる」といった抽象的な目標では、外注先と共通のゴールを持てません。
まずは、事業目標から逆算し、マーケティングKPIと評価指標を数値で定義しましょう。たとえば「リード単価5,000円以内」「CVR3%以上」といった具体的な水準を共有することで、外注パートナーとの成果基準のズレを防ぐことができます。
さらに、目標の背景(なぜこの数値なのか)まで共有しておくと、外注先も自律的に提案・改善を行いやすくなります。
設計したKPIを実現するには、タスク・進行状況・責任者を一元的に可視化する仕組みが欠かせません。複数の外注先や代理店が関わるほど、情報の分断や意思疎通の遅れが起こりやすくなります。
ここで有効なのが、MRM(Marketing Resource Management)のようなツールです。これを活用することで、施策単位のタスク管理やコスト配分、進行度をリアルタイムで把握できます。
加えて、進捗会議の議事録や修正依頼なども同じプラットフォーム上で共有すれば、「誰が・いつ・何を判断したか」が履歴として残り、判断の透明性と再現性が高まります。
外注を「成功体験」で終わらせず、「再現可能な仕組み」に昇華させるには、成果・失敗・仮説をすべてナレッジとして残す運用ルールを設けることが大切です。
月次や四半期ごとの振り返りでは、「何が成果につながったのか」「なぜ失敗したのか」を言語化し、ドキュメントやダッシュボードで蓄積していきましょう。
特に、外注先と社内チームの双方がアクセスできる状態にしておくと、新しい担当者でも過去の経緯を踏まえて判断できるようになります。こうしたプロセスを継続することで、外注が単なる“外部作業”ではなく、自社のマーケティング資産を強化する仕組みへと進化していきます。
マーケティング外注の失敗は、スキルや努力の問題ではなく、構造設計の問題です。戦略が不在のまま外注すれば、どんな優秀な代理店でも成果を出すことはできません。
重要なのは、外注を「実行支援」ではなく「戦略の一部」として組み込むことにあります。そのためには、KPI設計・レポーティング基準・ナレッジ管理の3つを仕組み化し、常に目的との整合性を確認できる体制を整える必要があるでしょう。
外注を単なる依存関係ではなく、戦略的なパートナーシップへと進化させることが、持続的な成果を生み出す鍵となります。
もし「外注をうまく活用できていない」「レポートはあるが意思決定に活かせていない」と感じているなら、一度、MRMの導入で運用を見える化することを検討してみてください。
アイトリガーの「MRM導入支援サービス」では、
を通じて、外注依存からの脱却と成果再現を実現します。
記事を書いた人
アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。