【LINEマーケティング事例】求人業界でのLINEを活用した離脱防止施策をご紹介

広告CPA高騰やCookie規制でリターゲティングが困難な今、求人メディアはどう離脱ユーザーを応募へ導くべきか?医療・介護領域の事例をもとに、LINEを活用した離脱防止施策とナーチャリング設計を解説。友だち追加からの応募転換率10%を実現した「損失回避訴求」など、CV最大化のノウハウを公開します。

本記事では、医療・介護・福祉領域の求人メディアで実施した「求人領域 × LINEマーケティング」の具体的な事例を通して、離脱ユーザーをどのように応募へ引き上げていったのかを解説します。

広告CPAの高騰やCookie規制によって、従来のリターゲティングに頼った集客・CV最大化のモデルは限界を迎えつつあります。特に、転職検討期間が長く、比較検討も前提となる求人領域では、「一度離脱したユーザーに再度アプローチできない」という構造的な課題が顕在化しています。

このような環境の中で、LINEは低コストで継続接点を維持でき、かつ高い開封率とセグメント配信を兼ね備えたチャネルとして、求人メディアと非常に相性の良いプラットフォームです。

本記事では以下を体系立てて整理し、求人メディア・人材業界でLINE活用を検討している方が、そのまま施策設計に活かせる形で紹介していきます。

  • なぜ求人領域でLINEが有効なのか
  • POPUPバナーとLINEを組み合わせた離脱防止施策の設計思想と導線
  • 12ヶ月間の運用によって得られた具体的な実績と示唆
  • CV最大化のためのナーチャリング設計の“最適解”に近い考え方

なぜ今、求人案件にLINEが有効なのか?

広告環境の変化(マクロ要因)

まず押さえておきたいのが、デジタル広告を取り巻く環境の変化です。

ひとつは、広告CPAの高騰です。各社が集客の主戦場をデジタル広告に移したことで、オークション型広告の入札単価は年々上昇しています。同じ数の応募や登録を獲得するために必要な広告費は増え続けており、「出稿はしているが、以前ほど採算が合わない」という声が増えています。

もうひとつが、Cookie規制によるリターゲティング精度の低下です。サードパーティCookieの段階的な廃止によって、以前のように「一度サイトを訪れたユーザーを追いかけて、最適なタイミングで広告を表示する」ことが難しくなっています。これまで離脱防止の主役であったリターゲティング広告の効果は大きく落ち込み、離脱ユーザーとの再接点を持つ難易度は確実に上がっています。

この二つの要因により、「広告を追加で投下しても、かつてほど効かない」「離脱ユーザーを広告だけで追いかけるのは現実的ではない」という状況が生まれています。

求人メディアが抱える構造的な課題

こうした広告環境の変化は、特に求人メディアにおいても強く影響しています。理由は、求人検討のプロセス自体が「長期戦」だからです。

転職検討期間は、一般的に3〜6ヶ月程度と言われています。その間、求職者は複数の求人メディアやエージェントを行き来しながら情報収集と比較検討を繰り返します。ある日ひとつの媒体を訪れ、翌日は別の媒体をチェックし、ときには一旦検討を中断しながら少しずつ転職意向を高めていきます。

また、「いますぐ絶対に転職したい」という顕在層よりも、「良い求人があれば転職したい」「条件次第で考えたい」といった、いわゆる潜在層・条件付き検討層のほうがボリュームとしては大きくなりがちです。

サイトには常に一定数の訪問がある

しかし、今すぐ応募には至らず離脱するユーザーが大量に発生する

一度離脱してしまうと、再び接触できる手段がほとんどない

こうした構造的な課題が生じます。これまではリターゲティング広告が、かろうじてこの課題を補っていましたが、前述の通りその手段も有効性を失いつつあります。

LINEが解決できる理由(構造的相性の良さ)

求人領域において、LINEが構造的に相性が良い理由は大きく3つあります。

1つ目は、継続接点を低コストで維持できる点です。一度LINE公式アカウントを友だち追加してもらえれば、その後3〜6ヶ月の検討期間にわたって、追加の広告費をかけることなく、必要なタイミングで情報提供を続けることができます。

2つ目は、開封率の高さです。LINEは日常的なコミュニケーションの基盤であり、メッセージが届けば多くのユーザーがその日のうちに開封します。調査によっては6〜8割程度の開封率が報告されており、メールや一部の広告よりも圧倒的に高いエンゲージメントを期待できます。検討意欲が高まった瞬間に、手元に求人情報が届いている状態を作れることは、大きな強みです。

3つ目は、希望条件に基づくセグメント配信が可能であることです。LINE側の機能と、自社の求人データベースを組み合わせることで、「エリア」「職種」「希望条件」などに応じたピンポイントの求人配信が可能になります。

ユーザーにとって「自分ごと」として受け取りやすい情報を届けられるため、応募への転換率も高まりやすくなります。

このように、長期検討・大量離脱・タイミング不確実という求人領域特有の構造と、LINEが持つ継続接点・高開封率・セグメント配信という強みは、非常に相性の良い組み合わせだと言えます。

LINEヤフー公式コラム

LINEを活用した導線設計

本事例の核となるのは、「離脱=失客」という従来の考え方を捨て、「離脱=将来のCV候補の獲得」という発想へ転換した点にあります。

サイトを一度離脱したユーザーを完全な失客とみなすのではなく、LINEというチャネルを介してプールし、適切なタイミングで再度応募へ引き上げる。これを実現するために、訪問から応募までの導線をあらためて再設計しました。

総合動線

全体の流れはシンプルですが、各タッチポイントの役割が明確に定義されています。

このように、広告からの来訪を単発で終わらせるのではなく、「離脱前にLINEへ引き継ぎ、その後はLINE上で関係性を深める」という構造へ転換したのが本施策の特徴です。

3つの主要タッチポイント

この総合動線の中で、特に重要となるのが次の3つのタッチポイントです。

① POPUPバナー(離脱防止の起点)

最初のタッチポイントは、サイト離脱直前に表示されるPOPUPバナーです。

本事例では、ページを閉じようとする動きがあった場合や、一定時間以上無操作状態が続いた場合にPOPUPを表示し、「LINE友だち追加」という次のアクションを提示しました。

このPOPUPは、単なる邪魔なバナーではなく、「今すぐ応募はしなくても、今後条件に合う求人情報を受け取りたい」と考えるユーザーに対して、将来の選択肢を残す手段として機能します。

ここでどのような訴求を行うかが、その後のすべての成果を左右しますが、その点については後半で詳しく触れます。

② 本シナリオ・リッチメニュー(即時誘導の導線)

次のタッチポイントは、友だち追加直後のコミュニケーションです。

ユーザーがLINE公式アカウントを友だち追加すると、すぐに本シナリオが自動で配信されます。このシナリオでは、ユーザーの希望条件をヒアリングしながら、求人データベースと連携した最新の求人情報をLINE上でレコメンドできるように設計しました。

同時に、トーク画面下部のリッチメニューにも、求人検索への導線やマイページ的な機能を集約。ユーザーは、ブラウザに再度戻らなくても、LINEの中だけである程度の情報収集と求人閲覧が完結します。

③ プッシュ配信(長期ナーチャリングの要)

3つ目のタッチポイントが、中長期にわたるプッシュ配信です。

本案件では、友だち追加後1週間は毎日メッセージを配信し、その後は週2〜3回の頻度で継続配信を行う設計としました。配信内容は、新着求人の案内や、特定エリア・職種に絞ったセグメント配信が中心です。

これにより、「仕事が忙しく今は動けない」「まだ情報収集中」というユーザーに対しても、転職意欲が高まったタイミングを逃さずアプローチすることができます。

検討角度が上がる瞬間はユーザーごとに異なりますが、その瞬間にLINEの受信BOXに求人情報が届いている状態を作ることが、本施策の狙いです。

およそ12ヶ月の運用実績

指標実績
運用期間(進行中)2024年11月〜2025年11月(12ヶ月間)
POPUP表示率(imprate)サイトPVの20~25%
POPUPのCTR(バナークリック率)5~6%(対imp)
友だち追加率(バナークリックに対する友だち追加)3~4% (対バナークリック)
LINE登録者から求人応募への転換率約10%(対友だち追加)

これらの数字を掛け合わせると、サイト訪問全体の中から一定割合のユーザーをLINEの友だちとしてプールし、そのうち約10%を再び応募者として送り返せている構造が見えてきます。

つまり、本施策を通じて、一度離脱しかけたユーザーを「完全な失客」にせず、LINEを介して「再び応募者に戻す」仕組みを実際に機能させることができたと言えます。

CVまでの経過日数と行動傾向

本案件では、LINEに友だち登録してから実際に求人応募(CV)に至るまでの経過日数を集計し、ユーザー行動の傾向を可視化しました。

CVまでの経過日数CV全体に対する割合
当日・翌日CV(経過0,1日)15.04%
1週間以内(経過2~7日)13.23%
1ヶ月以内(経過8~30日)19.22%
3ヶ月以内(経過31~90日)21.59%
半年以内(経過91~180日)16.71%
半年以上(経過181~日)14.21%

この分布から明確にわかるのは、「短期CVだけではなく、長期ナーチャリングが成果の鍵になっている」という点です。

他の自社案件では、友だち追加から1ヶ月以内にCVするユーザーが7〜8割を占めるケースもある一方、本案件では1ヶ月以内のCVは約半数にとどまっています。

その代わり、3ヶ月〜半年の期間にわたってコンスタントにCVが発生しており、長期的な検討プロセスを前提とした設計が功を奏していることがうかがえます。

また、メッセージ配信回数とブロック率の関係も重要なポイントです。一般的には、メッセージ配信頻度が高くなるとブロック率も上昇し、アカウントの健全性を損なうリスクがあります。

本案件では、友だち追加後1週間は毎日配信、その後3ヶ月ほどは週2〜3回のペースで配信という比較的高頻度な設計でありながら、ブロック率はおおむね24〜26%に収まっています。

求人領域という文脈では、ユーザーが能動的に「情報を取りに来ている」側面もあり、適切な内容と頻度であれば、高頻度の配信でも許容される可能性が示された事例と言えます。

離脱防止施策の検証(最も成果を左右した要素)

離脱防止施策の中で、成果を大きく左右したのはPOPUPバナーの「訴求内容」です。本案件では、複数パターンのクリエイティブを検証する中で、特に「ベネフィット訴求」と「損失回避訴求」の比較に注目しました。

ベネフィット訴求 vs 損失回避訴求

検証では、LINEの友だち追加により得られるメリットを前面に出したパターンと、「転職活動で失敗したくない」という損失回避の心理に訴えかけるパターンを用意しました。

約2週間のABテストの結果

  • ベネフィット訴求のPOPUPは、CTRが約4.99%、友だち追加率が約2.97%
  • 損失回避訴求のPOPUPは、CTRが約6.69%、友だち追加率が約3.36%

損失回避訴求がCTRで1.7ポイント、友だち追加率で0.39ポイント上回る結果となりました。

この差は、求人領域の文脈とユーザー心理を考えると、自然な結果とも言えます。

解釈と示唆

転職は、多くの人にとって人生の重要な意思決定のひとつです。

そのため、給与アップやキャリアアップといったポジティブなメリットへの期待と同じくらい、「転職に失敗したくない」「後悔したくない」というネガティブな感情も強く働きます。

特に、複数回の転職経験を持つ人や、身近な人の転職に関する成功・失敗事例を見聞きしている人ほど、「転職はうまくいくこともあれば、そうでないこともある」という認識が強くなります。

その結果、「失敗を避けたい」「リスクを減らしたい」という損失回避のメッセージに対して、より敏感に反応しやすくなります。

本検証では、視覚的なインパクトを持つイラストを用いたこともあり、損失回避訴求の印象が強く残りやすいクリエイティブになっていました。ビジュアルの影響も含めて、ユーザーの感情に直接訴えかけるメッセージが、反応を引き上げたと考えられます。

この結果は、「求人領域におけるPOPUPや広告クリエイティブでは、単にベネフィットを列挙するだけでなく、『失敗したくない』という心理に寄り添った訴求を意識することが重要である」という示唆を与えてくれます。

本施策から得られた3つの知見まとめ

ここまでの内容を踏まえ、本施策から得られた主な知見を3点に整理します。

① 求人 × LINE は構造的に相性が良い

長い検討期間、不確実な転職タイミング、エリア・職種・条件によって細分化されたニーズという求人領域の特性は、LINEの強みと非常に親和性があります。

一度友だち追加してもらえれば、3〜6ヶ月という検討期間にわたって、低コストで継続的に情報提供が可能です。さらに、高い開封率とセグメント配信機能により、「その人にとって今必要な情報」を「必要なタイミングで」届けられる点が、求人案件におけるLINEの構造的な優位性と言えます。

② 損失回避の訴求が強く刺さる

転職は人生イベントであり、「少しでも良くしたい」という願望と同じくらい、「絶対に失敗したくない」「後悔を避けたい」という心理が強く働きます。

本事例におけるPOPUPのABテストの結果は、ベネフィット訴求よりも損失回避訴求のほうが、CTR・友だち追加率ともに上回るという形で、この心理傾向を裏付ける結果となりました。求人領域におけるクリエイティブ設計では、「失敗回避」「リスク低減」といった観点から、ユーザーの不安に寄り添うメッセージを設計することが有効だと考えられます。

③ 友だち追加後のナーチャリングがCV率を左右する

「友だち追加させること」自体はゴールではありません。重要なのは、その後のナーチャリング設計です。

本案件では、友だち追加後1週間の集中的なコミュニケーションと、その後の週2〜3回の配信、さらにエリア・職種別のセグメント配信を組み合わせることで、友だち追加者の約10%を求人応募まで引き上げることができました。

短期的なCVだけを追うのではなく、3〜6ヶ月という検討期間を前提にしたナーチャリング設計を行うことが、LINEを活用した求人マーケティングの成否を大きく左右すると言えます。

まとめ

本記事では、医療・介護・福祉領域の求人メディアにおけるLINEマーケティング事例を通じて、離脱ユーザーを応募へ引き上げるまでの全体像を整理してきました。

従来、サイトから離脱したユーザーは、そのまま「失客」として扱われることが一般的でした。しかし、LINEを活用することで、離脱ユーザーを「将来の応募者候補」としてプールし、長期的なナーチャリングを通じて適切なタイミングで応募へと導くことが可能になります。

広告費をさらに投下するのではなく、既にサイトに訪れているユーザーとの接点を設計し直し、LINE上で関係性を維持・育成する。これが、求人領域における新しい成功モデルのひとつと言えるでしょう。

求人メディアの離脱率改善や、CPA高騰・Cookie規制下でのCV最大化に課題を感じている企業にとって、本記事で紹介した設計思想と実績は、LINE活用を検討する上での具体的なヒントになるはずです。

本記事でご紹介した内容は、次のような課題やニーズをお持ちの方に特に有用です。

  • LINEマーケティングに興味はあるものの、どのように設計すべきか分からない方
  • 自社メディアの離脱率が高く、改善の糸口を探している方
  • 広告費をこれ以上増やさずに、CV数を安定的に伸ばしていきたい方
  • データにもとづいた継続的な改善サイクル(PDCA)を構築したい方

自社の状況に合わせたLINE運用の設計や、他業種・他媒体での活用イメージなど、より具体的なご相談をご希望の場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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