アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。
今後フリーランスとして独立開業を目指しているけれど、何から準備すれば良いか分からない方もいると思います。確かにフリーランス活動を始める際、準備すべきことは様々です。
しかし事前に準備すべき内容を知っていれば、不安なく開業準備ができたり足りないものを揃えたりできます。本記事ではフリーランスに必要な準備項目を徹底解説します。
目次
フリーランスとしてスムーズなスタートを切るには念入りな準備が欠かせません。特に会社員を辞めてフリーランスになる場合、以下のことを心がけると良いでしょう。
まずお金を貯めることが非常に重要です。フリーランスになっても、すぐに仕事が入って来るとは限りません。フリーランスは案件で得られる報酬こそが収入源であるため、案件を得られないと収入も0円です。仮に仕事が来ても、開業直後は会社員時代ほど稼げないケースもよくあります。
収入が見込めない場合、会社員時代に蓄えた貯金で生活しなければなりません。できれば半年から1年分は用意しておくと良いでしょう。退職前に月収が20万円の場合であれば、120~240万円は用意しておくのが望ましいです。
貯金を作るとともに、家計の見直しや独立後の収支の見積もりも欠かせません。フリーランスとして開業した場合、基本的に収入が減るケースが多いです。会社員時代以上の収入がほしくても、スキルや経験が不十分な場合、ある程度の時間がかかります。
収入が減ることを考えると、退職前に家計の見直しをしておくべきです。中でも家賃や水道光熱費のような固定費はしっかりチェックすると良いでしょう。今より家賃の安いアパートに引っ越したり、電気代がより安い電力会社を選んだりするのがおすすめです。
加えて独立後の収支の見積もりも、早いうちにしておきましょう。今後選ぶ職種でいくらの収入が見込め、経費がいくら必要なのかを算出しておきます。
さらにクレジットカードや賃貸の契約は必ず会社員のうちに済ませておくべきです。実はフリーランスは会社員と異なり、ローン関係の審査の難易度が上がります。
会社員は毎月安定した収入を得られる一方、フリーランスは案件の稼働状況で収入が安定しません。月によっては極端に収入が減り、カード料金や家賃の支払いが滞るリスクもあります。カード会社や不動産会社にとって料金の滞納は避けたいため、フリーランスは審査の難易度が高めです。
欲しいカードや借りたい物件がある場合は、退職前に手続きを済ませましょう。
本業・副業で開業後に必要なスキルや経験を積むのも重要です。フリーランスは自身のスキルや経験を武器に案件を得たり、仕事をこなしたりして収入を得ます。案件探しでもスキル・経験がない人よりは、ある程度力量のある人の方が採用される確率が高めです。
例えばデザイナーとして独立したい場合、今いるデザイン系企業の業務を通じて経験を積むと良いでしょう。働いている会社がデザインと関係ない場合は、副業でデザイン関係の仕事を見つけて経験を積むべきです。スキルや経験があれば、開業後もスムーズに案件を探したり契約したりできます。
開業後の収入源になる案件を見つけておくことも非常に重要です。開業前から案件を見つけておくと、フリーランス活動を始めた後にいち早く収入を得られます。できれば複数の案件を見つけておくと、開業当初からまとまった収入を手にできるでしょう。フリーランスが案件を見つける方法は様々で、以下の方法があります。
特にクラウドソーシングサイトであれば、無料登録できる上に案件も豊富です。より高額の報酬を求めるなら、フリーランスエージェントに登録するのも良いでしょう。
開業前の準備として、円満退社を心掛けることも大切です。勤務先を円満退社しておくと、今後かつての上司や取引先を通じて仕事をもらえる場合があります。逆に険悪な間柄で辞めると、仕事を得るための窓口を減らしかねません。円満退社のためにできる準備は以下の通りです。
フリーランス活動を始める際、会社を退職した後に済ませるべき手続きや準備がいくつかあります。
まず国民年金への加入(切り替え)です。会社員からフリーランスになる場合、加入する年金制度も厚生年金から国民年金に変わります。手続きも退職日の翌日から14日以内に、住民票のある市区町村役所の年金担当窓口で済ませなければいけません。なお手続きに必要な書類は以下の通りです。
ちなみにフリーランスとして国民年金に加入すると、老後の年金の受取額が会社員より大幅に減ります。国民年金基金や付加年金などを活用して年金額を上げる工夫も大切です。
また健康保険についても国民健康保険への加入手続きを済ませます。手続きは退職日の翌日から14日以内に、市区町村役所の国民健康保険窓口で行う決まりです。手続きの際は以下の書類を持参します。
ちなみに国民健康保険に加入する以外にも、在職中に加入していた健康保険に任意加入するのも1つの方法です。最長で2年間加入できますが、保険料は全額自己負担である点に注意してください。
フリーランスとして活動するには開業届を提出する必要があります。開業届は実際に事業を始めて1ヶ月以内に最寄りの税務署に提出するルールです。開業届は以下の流れで提出します。
もし確定申告で青色申告を選ぶ場合は、青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。青色申告は申告方法の1つで、複雑な帳簿付けが求められます。ただし最大65万円の特別控除があり、所得税が大幅に安くなる可能性があるのが魅力です。
青色申告承認申請書は青色申告がしたい年の3月15日までに税務署へ提出します。例えば2025年の確定申告を青色申告で行いたい場合は、2025年3月15日が期限です。ただし1月16日以降に開業して同じ年に青色申告する場合は、2ヶ月以内に提出します。
開業前に事業資金が足りなくて不安な場合は、事業資金の調達も済ませましょう。基本的に貸付が多いものの、以下の方法で調達できます。
信用情報に問題がなく、事業計画がしっかりしていれば借りられる可能性も高めです。ただし返済が必要であるため、計画的に利用しましょう。
フリーランスとして本格稼働する際は、以下の準備を済ませておくのがおすすめです。
まず仕事用のメールアドレスを作っておきます。フリーランスの場合、メールでクライアントとやりとりするケースが非常に多いです。
ただプライベートなアドレスを使うと、クライアントから届いた大切なメールを見落とす場合があります。特に至急返信が必要な場合、返信を忘れると案件自体を失いかねません。
クライアントや案件が増えた場合に備えて、早いうちに仕事用のメールアドレスを用意するのがおすすめです。お名前メールのような独自ドメインで作れるものが良いでしょう。Gmailのようなフリーメールは企業側が受信拒否設定にしているため、やり取りに向いていません。
また事業用の銀行口座やクレジットカードも用意するべきです。フリーランスとして活動すると、報酬の受取や備品の購入など様々なお金のやり取りが発生します。プライベート用と同じ口座やカードの場合、取引が混在して帳簿付けの時に大変です。
先に事業用の口座やカードを用意しておけば、帳簿付けや確定申告の準備を楽に進められます。加えてクラウド会計ソフトと連携させれば定期的に取引データが自動送信されるため、帳簿付けがより便利です。
さらにポートフォリオも準備しましょう。ポートフォリオは自身の実績や作品をまとめた作品集です。ポートフォリオがあれば、案件への応募などで発注者に自分のスキルや経験をわかりやすくアピールできます。発注者側も一目でわかるポートフォリオがあれば応募者の力量を把握できるため、採用率も上がるでしょう。
ポートフォリオの作り方は様々で、ポートフォリオ作成サービスに作品のURLを載せる方法がよく使われます。自身の事業用公式サイト上で直接紹介したり、noteやブログで専用ページを作ったりするのもおすすめです。
名刺・印鑑・領収書のようなクライアントとのやり取りに使う事務用品も欠かせません。名刺はクライアントとの商談だけでなく、フリーランス同士でも人脈を広げる際に役立ちます。
また印鑑も契約書や領収書の作成に不可欠です。クライアント企業によっては今でもハンコを重視するところもあるため、屋号付きの角印を用意すると良いでしょう。ただ電子署名を取り入れる企業も増えているため、電子契約のルールにも慣れておくべきです。
領収書も備品の購入などにかかった費用を経費として計上する際に使います。経費として計上する場合、証拠として領収書を発行しておけば税務署に怪しまれても安心です。なお、領収書が足りなくなった場合に備えて出金伝票も準備しましょう。
クラウド会計ソフトの導入や税理士との契約もフリーランス活動では大切です。フリーランスはお金の流れの記録や確定申告の準備も毎年行います。帳簿付けや申告作業は不慣れなうちは苦労しますが、クラウド会計ソフトがあれば簿記に詳しくなくても大丈夫です。代表的なクラウド会計ソフトに以下のものがあります。
もし会計ソフトで確定申告の作業を進めるのが大変な場合は、税理士に依頼するのもおすすめです。5~10万円の報酬を払う必要はありますが、難しい作業を依頼できる上に税金関係でアドバイスまでもらえます。
ほかにもSNSアカウントやブログも準備しましょう。自分のフリーランス活動の発信に使えば、同業者や企業と繋がったり案件を紹介してもらえたりします。人脈が広がれば、仕事に役立つ様々な情報も得られるでしょう。
なおSNSやブログで情報発信する場合は、なるべく事業専用でアカウントを作るべきです。発信する内容も事業に関係のあるものを心掛ければ、様々な人に興味を持ってもらえます。苦しい時も同業者からアドバイスをもらえたり、仕事やイベントへのお誘いを受けたりするでしょう。
フリーランスで活動していくのなら、快適な環境を整えるのがおすすめです。フリーランス活動を快適に進めたい場合、以下の5つが役に立ちます。
まず作業部屋など集中できるスペースは欠かせません。フリーランスは仕事場所を自由に選べますが、集中できる場所があれば仕事の効率化や収入増に繋がります。
在宅で仕事したい場合は、できるだけプライベートな空間以外の部屋を用意するのがおすすめです。プライベートな空間で作業すると、誘惑に負けてゲームや動画などで時間を無駄にするでしょう。もしアパートのように部屋が限られている場合は、机の上をきれいにするなど工夫するべきです。
一方自宅で作業ができない場合は、近所のカフェやコワーキングスペースのように街中で集中できる場所が向いています。お金に余裕があればホテルの客室での作業も良いでしょう。
またハイスペックなパソコンや周辺機器もフリーランスには欠かせません。フリーランスはネット経由で案件を受注したり作業したりするため、スペックの良いパソコンは必需品です。最低でも以下のスペックのパソコンを用意しましょう。
加えてマウスやプリンターなどの周辺機器も重要です。特にプリンターは印刷以外に書類のスキャンが多い場合にも重宝します。レシートや領収書の電子保存でスキャンする際にも便利です。
さらにフリーランスコミュニティにも早くから加入すると良いでしょう。フリーランスコミュニティでは、同業者や今後フリーランスを目指す人たちの交流や情報交換の場です。
活動に役立つ内容の講演会やイベントも頻繁に行われている上に、案件を得られる場合もあります。特におすすめのフリーランスコミュニティは以下の通りです。
もしカフェなど外でよく仕事する場合は、Wi-Fiルーターやポータブルバッテリーも役に立ちます。街中には無料Wi-Fiが使える場所があるものの、基本的にセキュリティ面で不安なところが多いです。逆に無料Wi-Fiがない場所もあります。
しかしWi-Fiルーターがあれば、無料Wi-Fiがない場所でも普通に作業が可能です。セキュリティ対策が万全なものを使えば、より安心して仕事に集中できます。
ポータブルバッテリーも外での作業に便利です。カフェでもコンセントがない場所が多いため、パソコンのバッテリーが切れそうでもすぐに充電できます。
ほかにもできればバーチャルオフィスを用意するのもおすすめです。バーチャルオフィスでは事業用の住所を借りられ、名刺や契約書で自宅住所を出したくない場合に役立ちます。
しかも借りられる住所も銀座や六本木、梅田など一等地のものが基本です。事業の箔付けに使える上、サービスによっては会議室を借りたり法人化後に登記したりできます。
最後にフリーランスのWebライター8年目である執筆者が、開業準備を進める上で役立つアドバイスを書いておきましょう。
まず開業・独立の準備には3ヶ月から半年はかけるべきです。私の場合、2017年1月の頭にフリーランスになる決心をし、月末にはもうフリーランスとして活動を始めました。ただ初めたての頃はライターとして特別なスキル・経験もなく、貯金もない状態からのスタートでした。
スキルや経験が全くなかった分、クラウドソーシングサイトで仕事を探しても1文字1円未満の案件ばかりでした。しかも貯金もなかったため、後で触れるように同じ年の夏に報酬が払われなかったときは家賃の支払いにも困ったほどです。
開業・独立する場合、その前の3ヶ月から半年で副業でも良いからスキルや経験は身に付けたほうが良いでしょう。またフリーランス活動では、案件が取れなかったり収入が少なかったりすると不安に陥りやすいです。思ったほど収入が得られない場合でも貯金があれば、心を落ち着けつつ目の前の仕事に集中できます。
フリーランスになる際の準備として案件探しは重要ですが、できれば複数の案件や獲得サイトがあると良いでしょう。1つの案件や獲得サイトにこだわると、その案件が立ち行かなくなるなどした場合に収入が激減する危険があります。
私はフリーランス1年目だった2017年の3月から7月にかけて、ある案件を集中的に取り組んでいました。ただ5月頃から報酬の支払いの遅れが目立ち始め、6月や7月には未払いの報酬が万円単位に膨らみだしました。結局7月頃にはこの案件に見切りをつけ、継続中の別の案件に取り組むことにしました。
もし別に複数の案件を抱えていれば、ここまで報酬未払いの件で困ることもなかったと思います。また他の獲得サイトで案件を探していれば、早めに苦しい状況から抜け出していたでしょう。収入を安定的に確保するためにも、複数の案件や獲得サイトはあるに越したことはありません。
さらに収入が少ない時期の副業は極力避けることもおすすめします。フリーランスになった直後は収入が少ないケースも非常に多いです。収入が不足した際、副業は足りない分を補填する際に役に立ちます。ただ補填すべき額が大きいほど、副業ばかりでフリーランス活動が停滞しかねません。
私も2017年の夏には、日雇い派遣で収入の不足分を補っていたことがありました。倉庫での作業がメインで、9時から18時まで作業することもよくありました。移動も含めると1日につき10時間前後もの時間がなくなるため、フリーランス活動に充てる時間も少なくなりがちでした。8月に始まった条件の良い案件もありましたが、副業ばかりでスムーズに進まなかったため、本契約に至りませんでした。
もし先に貯金や案件などを用意できていれば、たとえ収入が少なくても副業せずに済んだでしょう。良い条件の案件も取り逃さずに済んだかもしれません。フリーランスになるのなら、極力副業に頼らずに済むように十分な準備を心掛けてください。
フリーランスに向けて開業準備を進めるのなら、解説本もぜひ読んでおくと良いでしょう。最近では開業準備の解説本も多く出版されています。事前に買って読んでおくと、準備の流れや必要な手続きなどを把握できるでしょう。
私も開業後にフリーランス活動を進めていく上で必要なものを色々と知ったため、「先に読んでおけば」と後悔することも多いです。以下に開業準備におすすめの本をいくつか紹介しておきます。
最後にフリーランスを始めるからには、続けていく覚悟とポジティブさも必要です。フリーランスは、普段の仕事以外に営業・自己管理・会計処理も自分でしなければなりません。会社員と違って自分で責任を負わなければいけないため、案件でのトラブルや収入の変化に悩むこともあるでしょう。
私もフリーランス活動で何度もトラブルに巻き込まれたり収入が減ったりしたことがあります。眠れない夜を過ごしたり、くよくよ悩んだりしたことも数えきれないほどです。それでもなお、楽観的な気持ちを胸に目の前の課題に取り組んだから今があると思います。
フリーランスは1年目で廃業する割合が3割程度といわれているため、続けるにはある程度の覚悟が必要です。ただ覚悟と根性だけでは疲れ切ってしまうため、楽観的な気持ちも用意すると気が楽になるでしょう。あとは困った時に相談できる人がいるのもおすすめです。フリーランスは孤独になりやすいため、相談できる人がいれば何とか頑張れます。
フリーランスを始めるのに必要な準備について色々と見てきました。開業後なるべく安定指せながらフリーランスを続けるには、事前に様々な準備を済ませておくことが大切です。中には会社の退職前からできることもたくさんあるため、フリーランスに興味があれば少しずつ準備を進めると良いでしょう。
念入りな準備さえしていれば、幸先よくフリーランス活動をスタートさせやすいです。今後フリーランスとして頑張りたい場合は、本記事で触れた内容を参考に準備を進めてください。
記事を書いた人
アイトリガー編集部
信頼できるデジタルマーケティングパートナーとして、クライアントとともに成長していくことを行動指針として活動する、プロフェッショナルなマーケター集団。実戦で得た経験をもとに、リアルな打ち手と課題解決のヒントをお届けします。