人はいるのに機能しない|SaaSマーケ組織のリソース偏りを解消する戦略設計ガイド

なぜ“人はいるのに機能しない”のか?この背景には「リソースの不足」そのものではなく、リソースの偏りと機能不全が潜んでいます。
本記事では、SaaSマーケ組織特有の課題を整理し、3ヶ月で戦略と実行を前進させる方法を解説します。

なぜ“人はいるのに機能しない”のか?

SaaS企業のマーケティング責任者からよく聞くのが、こんな声です。

  • 「チームの人数は足りているのに、戦略が前に進まない」
  • 「日々の運用は回っているが、優先順位がつけられない」
  • 「事業計画と連動したマーケ施策が描けず、四半期の数字に追われている」

実はこの背景には「リソースの不足」そのものではなく、リソースの偏りと機能不全が潜んでいます。
本記事では、SaaSマーケ組織特有の課題を整理し、3ヶ月で戦略と実行を前進させる方法を解説します。

SaaSマーケ特有のリソース課題

一般的なBtoBと比べ、SaaSマーケには次のような特徴があります。

  • チャネルの複雑性
    • 広告・SEO・ウェビナー・ABM(Account Based Marketing)・PLG(Product-Led Growthなど多層的な施策を同時に扱う必要がある
  • 短期成果のプレッシャー
    • 投資家や経営層から四半期単位での成果を求められる
  • データドリブンの必須性
    • CRMやMAなどツールを前提とした成果測定が求められる

この環境では「人材のスキル偏り」が大きな問題になります。

例:

  • 広告には強いが、コンテンツ設計が弱い
  • 戦略は描けるが、運用の手が足りない
  • データ分析ができる人がいない

こうした偏りはやがて、

  1. 戦略が止まる
  2. 属人化して引き継ぎ不可になる
  3. 優先順位が崩壊して機能停止に

といった深刻な事態を招きます。

解決のステップ①:事業計画から数字を逆算する

戦略を描くためには、まず事業計画とマーケを数字でつなぐ必要があります。

例:

  • 今年度のARR目標:+2億円
  • 受注率を30%とすると、必要パイプラインは6億円
  • そのために必要なSQL数:600件
  • SQL化率を20%とすれば、必要MQL数:3,000件

ここまで逆算できれば、「広告で◯件、ウェビナーで◯件、SEOで◯件」という形でチャネルごとの必要数値が見えてきます。

解決のステップ②:チャネルの優先順位をつける

逆算した数値に対して、全チャネルを均等に回すのは不可能です。限られたリソースの中で「やること」と「やめること」を決めなければいけません。

判断基準はシンプルに3つです。

  • 短期で成果が出るか
    • 広告やウェビナーは短期的にリードを増やせる
  • 社内リソースに適しているか
    • SEO記事量産やホワイトペーパー制作は外注向き
  • 事業戦略に合っているか
    • 大口顧客を狙うならABMやセールス支援が優先

この基準で優先順位をつけると、「今期は広告とウェビナーに集中、SEOは外注で最低限、ABMは来期準備」といった判断ができます。

解決のステップ③:内製と外注の役割を切り分ける

チャネルを決めても、「誰が何をやるのか」が不明確だと体制が機能しません。

マーケ業務は大きく4つに分けられます。

  1. 集客チャネル運用(広告・SEO)
  2. クリエイティブ制作(記事・動画・LP)
  3. データ分析・改善(数値管理・レポーティング)
  4. 戦略・計画(事業計画連動、チャネル設計、リソース配分)

この4つを「内製すべきか」「外注できるか」で切り分けるのが重要です。

  • 内製が担うべきこと
    • 戦略判断、顧客理解、意思決定、最終責任
  • 外注しやすいこと
    • 広告運用、SEO実務、制作タスク
  • ハイブリッドが望ましいこと
    • データ分析・改善(設計は外部、判断は社内)

こうして整理すると、「社内は戦略と判断に集中し、外注にタスクを任せる」という体制が見えてきます。

3ヶ月で体制を立て直すロードマップ

戦略を立て、体制を動かすには3ヶ月がひとつの目安です。

  • Week1〜2:現状の棚卸しとKPI逆算
  • Week3〜4:チャネルの優先順位決定、リソース配分の設計、外注パートナーの確定
  • Month2:施策を実行開始、数値管理の仕組みを整備
  • Month3:成果を評価し、改善。次期計画に接続

このサイクルを3ヶ月で回すことで、「戦略が立たない」状態から「計画と実行が結びついた体制」に移行できます。

今すぐ取り組むべきこと

「戦略が立たない」状態は、メンバーや施策の数が足りないからではなく、数字と優先順位と役割分担が整理されていないことが原因です。

  • 事業計画から逆算してKPIを明確にする
  • チャネルの優先順位を決め、やめる施策を決断する
  • 内製と外注の役割を分けて体制を設計する

まずはこの3つを整理することから始めてください。

弊社のMRMサービスでは、こうしたマーケ施策の実行から戦略設計、さらにはナレッジの移転することで内製化のサポートまで行っています。
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