MRM導入とは?SaaS企業が成果を出す体制構築法

MRM導入とは?SaaS企業が成果を出す体制構築法

本記事はSaaS企業向けにMRM導入とは何かを基礎から解説します。MRM導入によってマーケと営業を連携させ、成果を出す体制を構築する方法を紹介します。SaaSの成長段階に応じたMRMの考え方、導入時のポイントや失敗しない進め方を整理。MRMを導入してKPI管理や施策改善を進めたいSaaS企業に役立つ内容です。

外注しても成果が出ない、その根本原因は「広告依存」

「広告運用は順調に回っているはずなのに、事業成長につながらない」
そう感じているSaaSマーケティング担当者は少なくありません。

実際、多くの企業が代理店や業務委託に外注しても、CTRやCPAといった短期指標の改善にとどまり、KPIが事業目標(ARR・LTVなど)と連動していない状況に陥っています。

なぜこのようなミスマッチが生まれるのでしょうか。それは「マーケティングを施策単位で捉え、全体を統合管理できていない」ことにあります。

この課題を解決する手段として、近年注目を集めているのがMRM(Marketing Resource Management)導入です。MRMは、マーケティングのあらゆるリソースを“戦略軸”で整理し、KPIとKGIをつなぐ仕組みを構築するための仕組みです。

MRMとは?導入によって何が変わるのか

MRMとは、マーケティング活動を「リソース・プロセス・成果」の3軸で可視化・最適化する仕組みです。従来の広告運用や制作管理とは異なり、事業成長を目的に据え、戦略・実行・分析を一貫管理できる点に特徴があります。

MRMを導入することで得られる主な効果は以下の3つです。

  1. リソースの可視化:社内外の業務を一覧化し、誰がどのタスクを担っているか明確にできる。
  2. KPIの一元管理:広告、MA、CRM、SFAなど複数ツールのデータを統合し、KPIツリーに沿って進捗を可視化できる。
  3. ナレッジ共有の促進:施策や成果の記録を一元化することで、属人化を防ぎ、チームの再現性を高められる。

つまりMRMは、「部分最適」から「全体最適」へと転換させるための仕組みなのです。
導入によって、外注パートナーや代理店との連携もデータドリブンに変わり、「誰がどのKPIに責任を持つのか」が明確になります。

なぜ外注が失敗するのか?MRM導入前に整理すべき課題

外注が失敗する最大の原因は、事業目標とマーケティング施策のKPIが切り離されていることです。

たとえば、SaaS企業でよくあるケースとして、「リード獲得数(MQL)」だけを目標に掲げ、質の低いリードが増え、結果的にSQLや受注に結びつかない、という構図があります。

これは、KPI設計が“施策ベース”で止まっているために起こります。広告代理店や制作会社は、基本的に運用の一部分しか見られず、事業全体の成果責任を負うことが難しいからです。

MRM導入の目的は、この分断をなくし、「KGI→KPI→施策」までの因果関係を一本の線で結ぶことにあります。

導入前に整理すべき主な課題は次の通りです。

  • KPIが広告指標(CPA、CTR)で止まっている
  • データがツールごとに分断されている(広告⇄MA⇄SFA)
  • レポートが属人化し、ナレッジが共有されていない
  • 改善サイクルが定義されず、意思決定に時間がかかる

これらの問題を放置すると、いくら広告費を投下しても成果は伸びません。逆に、MRMを導入すれば、全体のKPI構造を可視化し、外注や社内リソースを最適化できる状態を作ることができます。

MRM導入ステップ|30・90・180日の実行ロードマップ

MRMは一気に導入するのではなく、段階的に整備していくことが成功の鍵です。以下のように、「30日・90日・180日」ごとに目的を明確化すると、成果が見えやすくなります。

【30日目】現状把握とKPIツリー設計

まずは現状のマーケティング施策を棚卸しし、既存のチャネル・成果・リソースを一覧化します。次に、事業KGI(例:ARR目標)から逆算して、KPIツリーを設計します。

例えば、以下のような構造です。

  • KGI:年間ARR 3億円
  • KPI:MRR、Trial数、Activation率、MQL→SQL転換率、広告投資額
  • 各数値を算出して「どの指標を改善すべきか」を明確にする

ここで重要なのは、「現状どこでボトルネックが発生しているのか」を可視化することです。

【90日目】運用とレポーティングの標準化

次のステップは、施策の実行とレポーティング体制の構築です。担当者ごとに役割を定義し(RACI表を作成)、各KPIの進捗を毎週レビューできるようにします。

この段階では、レポートの形式や頻度を統一することが大切です。MRM導入によって、広告・MA・CRMのデータを連携し、成果をリアルタイムで把握できる状態に整えます。

【180日目】ナレッジ移管と運用定着

導入から半年ほど経つと、運用が安定し、改善サイクルが定着してきます。ここでは、属人化を防ぐための「ナレッジ移管プロセス」を設けましょう。

レポートや施策内容をMRM内に蓄積し、誰でも参照できる状態にすることで、組織として継続的に成果を上げる仕組みが完成します。

MRM導入を成功させる3つのポイント|仕組み定着の鍵は“設計”にあり

MRMは導入そのものよりも、「どう設計し、どう運用に落とし込むか」が成否を左右します。ツールを導入しただけでは、データや業務が整理されず、従来の属人運用に逆戻りするケースも少なくありません。

そのため、導入初期にこそ“戦略に基づいた設計”を行い、KPI・データ・運用体制の整合性を取ることが重要です。ここでは、MRM導入を成功させるための3つの要点を整理します。

経営・事業KPIとの紐づけを最初に設計する

MRMの真価は、単なる施策管理ツールではなく、「経営目標をマーケティング活動に落とし込む設計図」にあります。

まず最初に、事業KPIとマーケKPIの関係を明確に定義し、指標を一元化することが欠かせません。この紐づけが曖昧なままだと、施策ごとの優先順位や評価軸がブレやすく、運用が“数字合わせ”に終始してしまいます。

導入前にKPIツリーを設計し、経営層と現場が共通の指標で意思決定できる状態を整えることが第一歩です。

データの整備ルールを明確にする

MRM運用の要は、正確なデータを扱える状態を維持することです。データの命名規則や登録基準、更新頻度などをあらかじめ定義し、チーム全体で統一ルールを運用しましょう。

ルールが曖昧だと、入力形式がバラつき、可視化レポートの信頼性が下がります。結果として、どの施策が成果を生んでいるのかが見えず、分析の再現性も失われてしまいます。

「データを整えること=判断の質を上げること」という意識を持ち、運用設計時から基準を明文化しておくことが重要です。

運用担当と意思決定層が定期的に対話する

MRMは導入して終わりではなく、“使いながら改善していく”運用型の仕組みです。そのため、現場担当者と意思決定層が定期的にデータをもとに対話し、課題と改善策を共有するサイクルが欠かせません

この連携があることで、経営側はリアルタイムに成果を把握し、現場は判断の方向性をすぐに修正できます。MRMは“ツール”でありながら、チーム全体の共通言語を生み出すプラットフォームでもあります。

継続的な対話を通じて、より強固なマーケティング基盤を構築していきましょう。

導入を成功させるためのチェックリスト

MRM導入を検討する際は、以下の項目を事前に確認すると失敗を防げます。

チェック項目確認ポイント
KPI設計支援事業KGIから逆算したKPI設計が可能か
データ統合広告・MA・CRMのデータを一元管理できるか
レポート指標の更新頻度と内容が透明化されているか
成果責任ベンダーが成果指標を明確に定義しているか
オンボーディング初期導入期間と支援内容が明確か
ナレッジ共有担当変更時の引き継ぎ体制が整っているか

このチェックリストを活用し、社内外のパートナーと合意形成を進めることで、導入後の運用をスムーズに立ち上げられます。

よくある質問(FAQ)

MRMの導入を検討する際、多くの担当者が抱える疑問は「導入にどのくらいの期間がかかるのか」「コストはどの程度かかるのか」「社内体制はどう整えればいいのか」といった具体的な部分です。

ここでは、導入前によく寄せられる質問をもとに、実際の準備や進め方の目安を紹介します。

Q1:導入にはどれくらいの期間がかかる?
A.:MRM導入の平均期間は約3〜6か月が目安です。初期段階では、KPI設計やデータ整理、運用フローの定義など、基盤づくりに時間をかけることが成功の鍵となります。導入を急ぎすぎると、後からデータ構造を修正する手間が発生しやすいため、最初の1〜2か月は慎重に進めましょう。ツールの設定自体は短期間で済みますが、運用の定着と社内理解の浸透には一定の期間が必要です。

Q2:どのくらいのコストが必要?
A.:コストは企業規模や利用範囲によって異なりますが、一般的には外注費や広告管理コストの最適化につながるケースが多く見られます。導入初期はシステム費用が発生しますが、データ連携や可視化によって、不要な施策や重複作業を削減できます。

また、KPI単位で成果を追えるようになることで、「費用対効果を可視化できる体制」が整います。結果的に、長期的にはマーケティング投資全体の効率化を実現できる点がMRM導入の大きなメリットです。

Q3:社内にどんな体制が必要?
A.:MRMの効果を最大化するには、マーケティング責任者と実務担当者が連携する体制が欠かせません。最低でも責任者1名と担当者1名が関与し、KPI設定から運用管理まで一貫して行える環境を整えることが理想です。

さらに、代理店や外部パートナーともデータを共有できるようにすると、全体のPDCAがスムーズに回ります。MRMは“管理ツール”ではなく、組織の意思決定を支える基盤として機能させることが重要です。

まとめ|MRM導入で広告依存から抜け出し、KPIを事業に直結させる

広告に頼りすぎたマーケティングから抜け出すためには、「戦略」「実行」「分析」を分断せず、ひとつの仕組みとして運用することが欠かせません。MRM導入は、単なるツールの導入ではなく、事業KPIを軸にしたマーケティング体制の再設計です。

属人化や情報の断絶を防ぎ、社内外のリソースを最適に動かすための“共通言語”をつくる取り組みでもあります。短期的な広告成果だけにとらわれず、長期的な事業成長へとつながるマーケティング基盤を整えましょう。

次のアクション|自社に最適なMRM導入を相談する

ここまで読まれた方は、すでに「広告依存から脱却し、KPIを事業成長に直結させたい」という明確な課題意識をお持ちだと思います。しかし、実際にどこから手をつけるべきか、どのように導入を進めるべきかを一人で判断するのは難しいものです。

AITRIGGERのMRM導入支援サービスでは、採用費用・初期費用0円で、欲しい人材を必要な分だけ補充することができます。そのため、IT/SaaS企業の課題に合わせたKPI設計・データ統合・運用体制構築をワンストップで進めることができます。


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